永代供養、樹木葬、散骨…福岡の供養が変化してきています。
■福岡でお墓以外の供養を選ぶ人が増えています。
2023年の供養に関する調査によると、新しく購入したお墓(供養)は一般墓が19.1%、納骨堂が20.2%、樹木葬が51.8%、その他が8.9%となり、樹木葬が過半数をキープ、さらに納骨堂が初めて一般墓より上回る結果になりました。
福岡でもお墓以外の供養を選ぶ人が増えており、特に樹木葬などの“永代供養”のお墓を選択する人が急増しています。
その理由としては
●少子化、核家族化などによって、お墓の管理を引き継ぐ人がいない
●お墓のことで子どもや孫たちに迷惑をかけたくない
●将来、お墓が無縁墓になったり荒れてしまうのが心配。
●家墓の概念がなくなり、親子それぞれのライフスタイルに合わせた供養を選びたい。
などが挙げられるでしょう。
また同様の理由で、お墓を残さず自然に戻す散骨を選ぶ人も増えています。
では具体的にはどのような供養の形があるのでしょうか。
特に人気がある「永代供養納骨堂」「樹木葬」「散骨」の3点にしぼって解説します。
■納骨堂に収蔵したご遺骨を永代にわたって供養してもらえる「永代供養納骨堂」
清谷寺の永代供養塔「霊應塔」もこの一つです。
納骨堂とは故人のご遺骨を納める納骨壇を用意した建物のことを言いますが、その種類は様々です。
また一般には建物の中に納骨室が設けられた「屋外型」が多いようですが、近年では屋外に設けられた屋外納骨堂も増えており、お墓のように自然を感じながらお参りができる納骨堂として人気を集めています。
屋内の納骨堂としては次のようなものがあります。永代供養がつけられる場合とつけられない場合がありますので、納骨堂の管理者に問い合わせてみましょう。
●仏壇型納骨堂
上段に仏壇、下段に遺骨を納める棚を設けた納骨壇がずらりと並ぶ、一般によく見られるタイプの納骨堂です。
●ロッカー式納骨堂
コインロッカーのような扉付きの納骨壇で、収容数も骨壺2~4個程度が多いようです。スペースが狭い分、他のタイプより低価格です。
●墓石型納骨堂
上段に墓石を設け、下段に骨壺を収容する棚を設けたものです。一般のお墓のようにお参りでき、天候や汚れなどの心配がない“お墓と納骨堂の両方の魅力を併せ持った納骨堂”ですが、墓石代が含まれるため高額になる場合もあります。
●自動搬送式納骨堂
IDカードなど入れると合同の参拝スペースに遺骨が自動的に運ばれてくる近代的なスタイルの納骨堂です。省スペースで運営できるため交通アクセスのよい都心部などに作られ、お参りにも便利なところが多いようです。
■永代供養納骨堂のメリット
●納骨堂の後継者がいなくても、将来の管理・供養を行ってもらえる。
●契約後の追加費用がかからない
●宗旨宗派を問わず、檀家にならなくても利用できるところが多い
●骨壺が汚れる心配がなく、お墓掃除も必要ない。
■新規建立数No1!福岡でも急増している「樹木葬」墓地。
ここ数年の新規建立数が実に全体の50%以上という圧倒的な人気を集める「樹木葬」。
福岡県内でも霊園や寺院で樹木葬墓地がぞくぞく開設され、それぞれ注目を集めています
樹木葬=墓石を設置せず、樹木を墓標の代わりにする埋葬方法と考えている人がまだまだ多いようですが、実はそうした「里山型樹木葬」は少数派で、近年開設されている樹木葬のほとんどが「公園型樹木葬」または「ガーデニング型樹木葬」です。
それぞれの樹木葬について簡単にご説明しましょう。
●里山型樹木葬
山間部に作られた樹木を墓標にした樹木葬で、国内で初めて誕生した樹木葬もこの「里山型樹木葬」でした。植樹をすることで山野環境保全につながるということから「環境にやさしい樹木葬」として始まりましたが、樹木の管理が難しい、交通の利便性が悪くお参りが大変などの理由から、里山型の樹木葬は全体的には少数派のようです。
●公園型樹木葬
霊園や寺院の墓所に公園のように美しく整備された樹木葬墓地のことを言います。樹木を墓標代わりにするのではなく、一つの区画にシンボルツリーや花壇などを設置し、その周りに小さめの墓石を設置します。
●ガーデニング型樹木葬
イングリッシュガーデン風に整備されたおしゃれな区画に、洋風のおしゃれな墓石を設置した新しいタイプの樹木葬です。花や緑などに包まれ、石畳や小さな滝なども配した明るい雰囲気なところが多く、「こんな明るいお墓に眠りたい」と生前に建立する方も多いようです。
お墓を建てず、自宅や身近な場所で「手元供養」をする方も増えています。
■手元供養とは
「お墓参りに行くのが難しい」「お墓掃除や管理が大変」などお墓の問題を解決する手段として、近年選ばれているのが「手元供養」です。
手元供養とはご遺骨の一部または全部をコンパクトな骨壺や自宅墓などに安置したり、アクセサリーにして身に着けてご供養する方法です。
平均価格は3~10万円程度、安価なものでは5000円程度のものもあります。他のご供養に比べてリーズナブルなことも手元供養が選ばれる理由のひとつです。
〈手元供養のお値段〉
●ミニ骨壺/5000円~2万円程度
●アクセサリータイプの手元供養/5000円~3万円程度
●ミニ仏壇/3万円~20万円程度
●自宅墓/9~20万円程度
■手元供養の種類
故人を身近な場所でていねいに供養できる「手元供養」ですが、その種類はさまざまです。
●分骨または粉骨をしたご遺骨をコンパクトな骨壺に安置…「ミニ骨壺タイプ」
●粉骨したご遺骨をペンダント、ブレスレットなどのアクセサリーに収納…「遺骨ペンダント」
●コンパクトな墓石に分骨したご遺骨を収納…「自宅墓」
などがあり、身に着けたり洋室に設置しても違和感のない、スタイリッシュなデザインの手元供養品も数多く販売されています。
■手元供養の価格
手元供養の平均費用は3万円~10万円程度ですが、もちろん商品内容、デザイン、素材、機能面等によって大きく異なります。しかしお墓や納骨堂に比べると、かなり安価で購入できることもメリットのひとつです。
金額は商品によって違いますが、手元供養の相場の金額は下記のようになります。
●ミニ骨壺の価格の相場/約5千円~1万5千円ほど
●アクセサリータイプの手元供養価格の相場/約1万円~3万円ほど
●ミニ仏壇タイプの手元供養 価格の相場/3~5万円ほど
●自宅墓タイプの手元供養 価格の相場/10~15万円ほど
■手元供養のメリット
●場所が必要なく原料費も安価なため、お墓や納骨堂に比べて費用がかからない。
●自宅で供養ができるので毎日心をこめた供養ができる。
●家に設置するので、お墓掃除の手間がかからない。
●お墓参りに行く手間や交通費などがかからない。
●お墓や納骨堂などのような年間管理費が掛からない。
●様々な種類があるので、自分らしい供養の形を選ぶことができる。
●自宅にご遺骨を安置するので法律上の手続きが必要ない。
■手元供養のデメリット
●ご遺骨を家に置くことに反対の親族もいる。
●お墓や納骨堂などが無い場合、残ったご遺骨の埋葬・安置場所の確保が必要となる。
●アクセサリータイプの場合、粉骨しなければならない場合がある。
●手元供養が終わったら、収納しているご遺骨を納める場所が必要となる。
●自分で責任をもって管理する必要がある。
■芸能人も選んでいる自然葬「海洋散骨」
■散骨とはどんな供養法?
芸能人が葬送方法として選んだことでも話題を呼んでいるのが「散骨」です。
散骨を選んだ芸能人としては、石原裕次郎さんが有名ですが、他にも横山やすしさん、元XJAPANのhideさん、ドリフターズの荒井注さん、落語家の立川談志さん、芸能リポーターの梨本勝さん、タレントの安岡力也さん、風と共に去りぬの主演女優・ヴィヴィアン・リーさんなども海洋散骨を行っています。
散骨というと最近流行りの葬送方法―というイメージがありますが、実は古来から行われている供養のスタイルで、古くは万葉集の歌にも詠まれています。
■散骨のルール
しかし、現代社会の中で散骨を行うためには一定のルールを守らなければなりません。
どんなルールがあるのか主なものをご紹介しましょう。
●どこに撒いてもいいわけではない。
「自宅の庭なら埋葬してもいいんじゃないか」と考えられる人もいます。しかしそれはNG。
墓地の管理や埋葬に関する法律としては「墓地、埋葬に関する法律(墓地埋葬法)」がありますが、この第4第1項に「埋葬または焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域では行ってはならない」と規定されています。
つまり、墓地として指定されている場所以外では、例え自宅の庭であっても埋葬することはできないのです。
「埋めるのではなく、散骨なので撒くのならいいのでは?」と考えられる人もいますが、いずれは土の中に埋まってしまいますし、風に乗って周囲に飛んでいく可能性もあります。
山で散骨を行う場合もありますが、基本的に海洋散骨以外の散骨はかなり難しいと言えるでしょう。
●散骨の際、遺骨はパウダー化しなければいけない。
散骨の際にはご遺骨と分からないよう、2mm以下に細かく粉砕しなければなりません。
粉骨せず、骨と分かるような形で散骨すると最悪「死体遺棄罪」となり、犯罪となる可能性もあります。
●海洋散骨では周辺環境や漁場などに影響しない沖合を選ぶ必要がある。
海洋散骨は一般的に認められていますが、もちろん、どこの海に撒いてもいいわけでありません。
散骨場所は岸から離れた沖合であることが基本ですが、沖合であっても風評被害などを避けるため漁業場や養殖場の近くもNGです。個人で散骨する際は事前に調べておきましょう。
●散骨の前に、発がん性物質である六価クロムの無害化処理が必要。
ステンレスなどの金属を長時間高温燃焼させると発がん性物質である六価クロムが発生しますが、国内の火葬場ではステンレス台を使っているところが多く、火葬した遺骨に六価クロムが付着する場合があります。
そのため、海洋汚染につながらないよう、粉骨をする前に六価クロムの無害化処理をする必要があります。
■海洋散骨の種類と注意点
海洋散骨は大まかには次の3プランなります。
●「チャーター散骨プラン」
船をチャーターし、家族や縁のある方と一緒に散骨を行うプランです。
日程の希望も調整が可能で、周囲を気にすることなく、心に残る散骨セレモニーを実現します。
しかし船を貸切るため費用は高めになります。
また、天候によっては船酔いなどの心配もあります。
●「合同海洋散骨プラン」
2組以上のご家族や委託海洋散骨と一緒に散骨を行うプランです。ご家族で乗船し、自ら散骨をすることができますし、費用もチャーター散骨より安価となります。
一方で日程を自由に選ぶことができない、他の方も一緒なので気を遣うなどのデメリットもあります。
●専門業者に散骨を依頼する「委託海洋散骨」
遺族が同乗せず、専門業者に散骨を依頼するプランです。業者にご遺骨を預ける、またはゆうパックなどで郵送し、その後は散骨まですべて業者が実施します。遺族が乗船しないので船酔いするなどの心配もなく、故郷や思い出のある海に散骨することもできます。
価格も他のプランに比べて安価ですが、他の委託散骨の方とまとめて実施するため、散骨日の指定はできません。
■海洋散骨の価格
「お値段が安いこと」これは散骨の魅力のひとつです。
散骨の中でも最も豪華と言われる「チャーター散骨」であっても30万円以下で行えることが多く、お墓や納骨堂と比べるとかなり格安になります。
その理由としては墓石や埋葬場所が必要ないこと。そして将来にわたる管理もしなくていいことなどが挙げられるでしょう。
各散骨プランの相場は下記の通りです。
※地域や業者、サービス内容によって異なります。詳しくはホームページなどで確認しましょう。
●チャーター散骨/30万円~50万円
●合同海洋散骨/18万円~25万円
●委託海洋散骨/5万円~10万円
■海洋散骨のメリット
・波とひとつになり、自然に還ることができる自然葬です。
・墓石や納骨壇などが必要ないため、他の葬送方法に比べて安価となります。
・お墓掃除やお墓参りなどが必要ないため、お墓の後継者がいない場合も安心です。
・永代供養料や管理費などの費用も必要なく、遺族に負担をかけません。
・遺骨はゆうパックで郵送することもできるので、多忙な方も安心です。
・故人の思い出の海(山)に散骨することができます。
・船に乗らなくても、専門の業者に散骨を委託することができます。
■海洋散骨のデメリット
・散骨をしたあとは、二度と手元に戻すことはできません。
・手を合わせる場所が分からず、遺族の中には寂しさを感じる人もいます。
・天候や海の状況によっては、希望の日時に出航できないケースもあります。
・船酔いをする方は乗船が難しいこともあります。
・家族や親族に理解を得られない場合もあります。
・地域によっては条例で散骨が禁止されている場合もあります。
・散骨の際は必ず粉骨をする必要があります。
・ご遺骨を粉骨する際、六価クロムの無害化処理が必要となります。
「ふるさと散骨」のホームページはこちらから
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